2021.11.29
イベント、キャンペーン
熊本ロケット教室|大学での特別な出会いは未来にも影響する
熊本県内で「くらしのドクター」事業を展開する九州電設株式会社(代表取締役社長:川内 省三)は、地域の次世代を担う子どもたちへの教育の一環として「子どもロケット体験教室」を開催します。
目次
ロケット教室とは?
本物のロケットとほぼ同じ機体の構造のオリジナルの紙製ロケットを制作して頂き最後に本物のロケットエンジンを載せて約40mの上空へ飛ばします。
ロケット教室は、誰もが憧れる宇宙をテーマに、「できないと思ったことができるようになる」、「やったことないこ とをやってみる」の繰り返しで、小さな自信を増やしていくことを目的で行っています。
ドラマ下町ロケットのモデルになった植松努さんが監修
植松努さんが想う、ロケット教室
2005年3月。僕の人生ではじめてのロケット打上の日。僕はロケットを打ち上げたくありませんでした。はじめて作ったロケットだから自信がなかったのです。「絶対に失敗する」と思っていました。しかし、カウントダウンは止まりません。ついにロケット点火です。僕は恐怖で身をすくめました。次の瞬間、ロケットは轟音とともに美しい炎の尾を引いて、夕焼けのような碧い空に吸い込まれるように飛んでいきました。知らぬ間に涙が溢れていました。
それ以来、僕は12万人の子ども達にロケット教室を提供してきました。ロケット打上前のものすごく緊張している子ども達の表情が、ロケットが飛ぶことによって輝きます。自分で作って、自分で飛ばすから感じられる強い不安と喜びです。
植松努さんとロケット
ロケット事業を始めたきっかけ
社会活動に熱心な友人がいて、彼に児童養護施設でのボランティアに誘われたのがきっかけでした。何も考えず誘われるままに行ったのですが、親から虐待された子どもたちの姿を見て、僕は大きなショックを受けました。僕がお金を寄付したとしても、あるいは養子として何人かを引き取って育てたとしても、幼児虐待が根本的に解決されるわけではない。自分は全く無力だ──。そんなことを考えました。
思えば、僕も小さい頃からずっとつらい思いをしてきました。自分の夢や未来を根拠のない言葉で否定され、「どうせ無理」と言われ続けてきました。おそらく僕にそう言った大人たち自身、そう言われて育てられたのでしょう。自信と自由を奪われた人たちが、子どもたちの自信と自由を奪っていく。大人たちはよく「子どもに夢を与える」と言います。でも夢なんて与えなくていいんですよ。せめて奪わないでほしい。「どうせ無理」と言って子どもから夢を奪う、その悪循環を断ち切りたいと僕は強く思いました。
では、「どうせ無理」をなくすにはどうすればいいか。「宇宙だ」と僕は思いました。僕は子どもの頃から飛行機や宇宙が大好きでした。宇宙が好きなのは僕だけではありません。星や月は僕たちみんなの頭上で美しく輝いていて、多くの人たちがそれに憧れています。
でも、そこに行くためのチャレンジをしようと考える人は多くはない。宇宙開発は国がやることだとみんな思っているからです。ならば、その「無理」と思えることにチャレンジして成功すれば、「どうせ無理」と考える人が少なくなるかもしれない。その思いが僕にとってのロケット開発の原点なんです。
でも、さすがに一人でロケットは作れません。第一、とても危険です。とりあえず僕は子ども向けの紙飛行機教室を開きながら、何かいい方法はないかと考え続けました。そんな時です。北海道大学の永田晴紀という教授の方がいきなり電話をしてきて、あろうことか、「爆発しないロケットエンジンを開発中である」と言うわけです。しかし、「それを実験する場所とお金がない」と。僕はすぐに思いました。爆発しないということは、自分たちで作れるということじゃないか!
僕は、「お金は出せないけれど場所や技術は提供できます。これは日本にとってものすごく重要なプロジェクトになります」と永田先生に意気込んで伝えました。それで、どうやら先生にも本格的にスイッチが入ったようですね。そうして2004年に僕たちのロケット作りがスタートしたわけです。
最初の打ち上げは05年の3月でしたが、ロケットが飛んだ時は、ものすごい音がするわ、見たこともない美しい炎が出るわで、みんな仰天していました。その後1年半くらいの間はしょっちゅう故障しましたが、構造をどんどん改良していって、現在のカムイロケットの形が出来上がっていきました。
TEDで500万回再生された「思うは招く」植松努さん伝説のスピーチ
熊本でロケット教室を開催したい理由
申し遅れました。記事を作成している高場大貴と申します。2021年3月に大学を卒業して、熊本県の電気工事士在籍数No1を誇る九州電設(株)に入社しました。
植松さんとの出会い
私が、植松さんと出会ったのは大学1年生の時の講義でした。毎年、非常勤講師として来てくださっている植松さん。いつもと変わらない様子で講義は始まったのですが、講義が終わった後の教室中の様子は違いました。
多くの学生に涙が溢れていました。
まさか自分が大学の講義で感動して泣いてしまうなんて想像もできませんでした。
私の夢と挫折
私は、小さい頃あったドラマの影響で「社長」「政治家」に憧れを持っていました。目立つことが大好きで、運動会の応援団、生徒会、部活動でのキャプテンもしました。夢である政治家や社長になるためには、先生や親から褒められる子どもにならないといけない。ちゃんと勉強をして、いい学校に入って、いい会社に入らないといけないって考えました。
受験勉強はとにかく暗記です。毎日、夜遅くまで勉強をしました。
しかし、不合格。ダメ人間の烙印を押されたようになり、先生や親が褒めてくれていた人間になることができませんでした。高校の制服の採寸にも行かなかったし、2週間ぶりに外に出て入学式に行ったのですが、写真は一枚も残っていません。すっかり自信を失ってしまって、人の目ばかり気にしているうちに本当の自分が分からなくなってしまいました。
植松さんに出会い考え方が大きくシフト
植松さんの講義の中で、「東大に行かないとロケットなんか作れるわけないだろう」と夢を否定されたという話がありました。でも、実際に調べて見ると東大出身以外でロケットの研究をしている人も多くいるし、宇宙に飛行士になっている人もいたそうです。
確かに、中卒で社長になっている人もいるし、いい学校に入ることが全てではないなって思いました。
大人が言う”いい”会社ってなんだろうなって考えました。
「安定して楽をしてお金がもらえる会社」
それでは、せっかく勉強してつけた能力を使わずに終わってしまいます。
事実として今や公務員の40%、大企業の60%が非正規雇用です。
これからの時代は「素直」と「真面目」と「勤勉」、そして暗記の量だけではロボットに負けてしまう。
夢や個性が輝き出す
私のこれまでの判断軸は、先生や親からの評価でした。「どんな行動や発言をすれば先生や親は喜ぶのか」という基準を第一優先していました。たった一度きりの人生なのに、主体性がなく、従属的で、他責で物事を捉えていました。
夢は他人事からは始まらない、夢は常に自分ごとからのスタート。
本人に意思(will)から始まっていく。
「好き」を大事にしたい、小さくても大きく、たくさんあったも良いから夢を持つことは大切だと植松さんの講義を聴いて、考え方が大きくシフトしました。
ある朝のラジオで
ある日の朝、ラジオを聞いていると若者の自殺率が増えているというニュースを耳にしました。その数を聞いてとても衝撃だった。去年1年間の国内自殺者数は2万1081人。
リーマンショック直後の2009年以来、11年ぶりに増加。深刻なのは女性や子どもで、前年と比べると女性は15%、小中高生は25%も増加している。
若者の心の混乱
若者は、絆が大事、繋がりが大事と指導される一方では、ニュースで「ディスタンス」と
報道されています。ここに心の大きな矛盾と混乱があります。
この問題にアンテナを貼っていると、身近なところでも不安な声が聞かれました。
熊本地震から5年
「見渡せば、もう全く焼け野原と似たような状態で、家は崩れ、車を走らせれば山も崩れて、橋もなくなっている。どこから手をつければいいんだ」
これは熊本地震の被災者の声です。震災から5年の時が過ぎました。
また、心の中で同じことが起こっているのかもしれません。
ある日突然、孤独感はやってきます。全く自信を失ってしまって、自分のすがる場所、居場所を探します。こういうのが突然やってきて、今まであったものがすべて失われて、暗闇になったような。そういうのが本当に突然やってきます。
自立ではなく孤立に向かう若者
「人に迷惑をかけてはいけない。なんでも自分でできるようになりなさい」
これが大人になる、自立するということなのでしょうか。
自立しているつもりが、孤立に向かっているのではないでしょうか。
本当の自立は、多くの人に頼れる関係性を作ることだと思います。
物理的な家はあるけれど、心の拠り所がない若者が増えています。
私たちにできること
ロケット教室をきっかけに何か私にできるかもしれない。
若者を孤独や孤立から救いたい。
自己肯定感や自信を増やしていくことで自殺は減らしたい。
多くの人が夢を持つことで自殺を減らしたい。
ロケットには、夢が詰まっています。
心が動く、興奮の一瞬があります。
喜怒哀楽を素直に表現できる一瞬があります。
自信を増やし、未来に向けて前に進むエンジンをくれます。
だから私は熊本でロケット教室を開催したいのです。