2024.04.09
お知らせ
マンションのエコキュートを取り付け・交換の作業の流れや機器の選び方、注意点について解説
目次
広い設置場所を確保する
マンションでエコキュートを設置する際にはまず、広い設置場所を確保することが重要です。
ガス給湯器などであれば、壁掛けタイプの製品もあり、マンションでも省スペースでの設置が可能です。
しかし、エコキュートはお湯を作るために大気熱を集めるヒートポンプユニットと、作ったお湯を貯めておく貯湯タンクから構成されています。
たとえコンパクトタイプであってもガス給湯器などに比べると、下記のように大きな機器が必要となります。
上記のような機器を設置するためのスペースを確保しないことには、マンションにエコキュートを導入することはできません。
広い庭のある戸建て住宅であれば簡単にスペースを確保できますが、マンションでは設置が難しいケースも多いです。
マンションであっても一階に住んでおり広い専用庭があるケースや、ベランダやバルコニーに広いスペースが確保できるケースであれば、マンション用エコキュートを設置しやすいでしょう。
また、もともと電気温水器を使用しており、すでに貯湯タンクを設置するスペースがある場合もエコキュートを設置しやすいです。
一方で、広いスペースがないケースやガス給湯器から切り替えるケースでは、工事が大掛かりになる傾向にあるため、注意が必要です。
事前に大家さん・管理組合に連絡する
マンションでエコキュートを設置する際には、事前に大家さん・管理組合に連絡することも重要です。
マンションでエコキュートを導入する場合には大掛かりな配管工事などが行われるケースも多く、か大家さん・管理組合の許可が必須となります。
搬入時・施工時の騒音に加え、設置後の使用時の騒音なども想定されるため、マンションによってはエコキュート設置の許可が降りないケースもあります。
また、耐震性などの問題から許可が降りない可能性も考えられます。
許可を得ずにエコキュートを導入すると、契約違反に当たる可能性も高いので、注意が必要です。
たとえ賃貸ではなく分譲マンションであっても、工事が共有部分に及ぶことや騒音などのトラブルを踏まえ、必ず管理組合の許可を得る必要があります。
エコキュートは初期費用が高いからこそ、設置後に契約違反となったり近隣住民とトラブルになったりするケースを避けるべく、事前に大家さん・管理組あに連絡をしましょう。
設置後の騒音や水漏れにも備える
設置スペースが確保でき、管理組合から許可が降りた場合でも、騒音や水漏れなどに備える必要があります。
エコキュートは電気料金の安い夜間に稼働してお湯を作るため、ご自身や近隣住民が寝ている時間帯に低周波の稼働音が発生します。
この低周波音によって、ご自身や近隣住民の睡眠が妨げられる可能性もあるので、注意が必要です。
最悪の場合では、健康被害を理由に訴えられる可能性もあります。
他にも、エコキュートの故障や施工不備などによって水漏れが起きた場合、階下に迷惑をかける可能性もあります。
このようにエコキュートの設置後にもさまざまなトラブルが考えられるため、下記のような対策を前もって行うことが重要です。
- 防音シートや防振ゴムで騒音を防ぐ
- 水漏れ防止機能搭載のエコキュートを購入する
- 故障による異常音や水漏れを防ぐために定期メンテナンスをする
長く快適にエコキュートを使い続けるためにも、設置後の騒音・水漏れ対策を必ず行いましょう。
マンションでエコキュートを設置する際の騒音対策3選
マンションでエコキュートを設置するハードルは、戸建て住宅に比べて高いことが分かりました。
なかでも騒音問題は自分だけでなく近隣住民に影響を与えるものであり、最悪の場合は訴えられる可能性も考えられます。
マンションにおけるエコキュートの騒音を防ぐためにはまず、設置時の対策が重要です。
ここでは、具体的な3つの騒音対策を見ていきましょう。
隣室から距離を空けて設置する
マンションにおけるエコキュートの騒音を防ぐためには、隣室から距離を空けて設置することが重要です。
隣室の寝室とエコキュートの距離が近い場合には、隣室の住民の眠りを妨害する可能性が高くなります。
そのため、隣室との距離、特に寝室との距離を考慮して適切な場所にエコキュートを設置しましょう。
十分なスペースが確保できているとしても、隣室との距離を考慮すると設置が難しいケースもあります。
したがって、マンションでは隣室に迷惑をかけない場所に十分なスペースがある場合にのみ、エコキュートの設置が可能と言えます。
防音シートや防振ゴムを活用する
騒音を防ぐためには、防音シートや防振ゴムなどを活用することも重要です。
防音シートを活用することで、エコキュートの稼働音が反響するのを軽減できます。
また、エコキュートが稼働している時は振動も発生します。この振動を防ぐのに、防振ゴムが有効となります。
近くにエアコンの室外機などがある場合には、共振によって騒音が大きくなってしまうものです。
このような騒音の悪化を防ぐためには、設置場所を工夫するとともに防音シートや防振ゴムなども活用しましょう。
防音シートや防振ゴムは、エコキュートを購入した販売店や業者から購入できる他、ネットショップでも購入が可能です。
手軽に入手できるアイテムを活用して騒音を最小限に抑えることで、マンションでエコキュートを快適に使い続けることにつながります。
定期的に点検をして故障を防ぐ
マンションにおけるエコキュートの騒音を防ぐためには、定期的な点検によって故障を防ぐことも重要です。
正常な状態でも設置場所によっては夜間の運転音が気になるケースもありますが、故障している場合には騒音が悪化してしまうケースもあります。
エコキュートを使用していて、普段はしないような騒音がした・エラーなどが頻発した場合には、故障が考えられます。
このような場合には、早急に業者に連絡をして点検・修理してもらうことが重要です。
また、異常が出てからではなく1年に1度くらいの頻度で定期メンテナンスを受けることで、事前に故障を防ぎやすくなります。
業者によってはアフターサービスの内容は異なるため、マンションでエコキュートを導入する際には、保証内容・アフターサービスの内容が手厚い業者を選ぶことも重要です。
マンション用エコキュートの選び方3つ
マンションでのエコキュートの騒音対策が分かったところで、マンション用エコキュートの選び方を見ていきましょう。
集合住宅向けのコンパクトタイプを選ぶ
マンション用エコキュートを選ぶ際にはまず、集合住宅向けのコンパクトタイプを選ぶことが重要です。
エコキュートの主要メーカーである三菱・パナソニック・コロナでは、集合住宅向けのエコキュートをリリースしています。
設置スペースの限られているマンションでも導入しやすいように、幅と奥行きを抑えた省スペースの製品や、容量の小さい1~2人用の製品などがあります。
このような集合住宅向けのエコキュートを選ぶことで、一般的なエコキュートを設置しづらいマンションでも限られたスペースを活用して導入することが可能です。
また、タンク容量が185Lなどのエコキュートであれば一般的なモデルに比べて価格も安いため、単身者や2人暮らしの方でもエコキュートに買い替えやすいでしょう。
各メーカーのマンション用エコキュートのおすすめは「マンション用エコキュートのおすすめ3選」で詳しく後述します。
運転音の小さいタイプを選ぶ
マンション用エコキュートを選ぶ上では、運転音の小さいタイプを選ぶことも重要です。
エコキュートの運転によって発せられる低周波音は騒音トラブルを引き起こすケースもあります。
しかし近年では、従来モデルよりも運転音が改善された製品も多く登場しています。
最新モデルで運転音の小さいエコキュートを選ぶことが、騒音トラブルを防ぐことにつながるでしょう。
また、騒音トラブルをより効果的に防止するためには、防音シートや防振ゴムなども同時に活用することが重要です。
せっかくエコキュートを購入したのに騒音トラブルで使い続けられなくなる、といったケースを避けるために、製品を選ぶ段階から騒音対策を意識しましょう。
水漏れ防止などの機能で選ぶ
マンション用エコキュートを選ぶ上では、水漏れ防止などの機能で選ぶことも重要です。
エコキュートの使用に伴うマンションでのトラブルとしては、故障による階下への水漏れなども挙げられます。
このような事態を防ぐためには、水漏れ防止機能などが備わっているエコキュートを選ぶのがおすすめです。
例えば、三菱の「エコキュートライト」などであれば、エマージェンシーストップ機能が搭載されており、水漏れ時にはただちに給水を止める機能が備わっています。
水漏れ防止機能などの機能面も考慮してエコキュートを選び、かつ定期的なメンテナンスも行い、不具合や故障を事前に防ぎましょう。
1.エコキュートの節約効果
エコキュートは、正式名称を「自然冷媒ヒートポンプ給湯器」といって、その名の通り、ヒートポンプという技術を使ってお湯をわかします。ヒートポンプとは、空気中から熱エネルギーを集めて大きな熱エネルギーにする技術をいい、エコキュートだけでなく、エアコンや冷蔵庫などの身近なものにも使われています。
ガス給湯器はガスの力を、電気給湯器は電気の力を使ってお湯をわかします。しかし、エコキュートはヒートポンプによって集めた空気中の熱エネルギーと電気を使ってお湯をわかすのです。関西電力によると、使う電力の3倍以上の熱エネルギーを生み出すことができ、電気を使わないガス給湯器と比べても一次エネルギーの消費量は約34.9%も減少するといいます。ガス給湯器や電気給湯器と比べて、エコキュートは効率よくお湯をわかすことができるのです。
エコキュートを導入することで、お湯をわかすためのガス代がかからなくなるだけでなく、電気給湯器と比べても電気料金はぐっと安くなります。お湯のわかし方やライフスタイルによって各家庭の電気料金は異なってくるのですが、毎月の電気給湯器の電気料金が約3,000円の家庭の場合、エコキュートにすることで電気料金は約1,000円まで安くなるといわれています。エコキュートの寿命は10年以上といわれていますから、長い目でみると大きく電気料金を節約することができるのです。
2.エコキュートは場所を取る
給湯器の設置に必要なスペースは、その方式によって大きく異なります。
ガス給湯器はガスの力で必要なときだけ必要な量のお湯を瞬間的にわかします。そのため、貯湯タンクが必要なく、壁掛けで設置することができますから、設置スペースをほとんど考えずにすみます。
しかし、電気温水器になると主に深夜電力を利用してお湯をわかしてタンクに貯めておき、それを昼にも使うことになります。そのため貯湯タンクが必要になり、タンク容量に応じた設置スペースが必要です。
さらにエコキュートになると、空気中の熱を集めるためのヒートポンプユニットとお湯をわかして貯めておくための貯湯タンクの両方が必要になってしまいます。エコキュートは、ガス給湯器はもちろん、電気給湯器よりも広い場所を取ってしまうのです。構造上、広い設置スペースを必要とすることはエコキュートのデメリットといえます。
3.エコキュートの騒音問題と対策
エコキュートは電気温水器と同じように主に深夜電力を使ってお湯をわかします。しかし、電気温水器よりも大きな低周波音を発生させてしまうという点はデメリットです。エコキュートのヒートポンプユニットには大気中のエネルギーを集めるためのファン(送風機)がついており、これが回転すると低周波音を発生させます。
さらに、ヒートポンプユニットには大気中から集めた熱エネルギーを圧縮して高温を作り出す圧縮機が内蔵されていて、これも低周波音を発生させてしまいます。このファンと圧縮機の2つがエコキュートによる低周波音の原因なのです。ヒートポンプユニットから発生する低周波音は40dB程度といわれています。音の大きさの目安は市内の深夜、図書館、静かな住宅地の昼程度で、聞こえる会話には支障なしとされている程度です。そのため、決して大きな音が出ているわけではありません。しかし、寝静まった深夜にはこの音が気になってしまうということがあります。
2009年には、隣家がエコキュートを導入したら夜眠れなくなったという群馬県の男性が、エコキュートのメーカーなどを訴えて新聞報道されたこともあります。エコキュートを設置する際には近隣への騒音に配慮する必要があり、マンションの場合には、戸建てよりも隣家との距離が小さいので、特に気をつける必要があるといえます。
もっとも、エコキュートからは深夜だから気になる程度の騒音しか発生していないのです。そのため、「隣家の寝室から距離を取る」「換気ダクトや排気口から音が伝わらないように設置する」「制振材や防音シートをつける」などすることで隣家への騒音を軽減することができます。
事業者団体である社団法人日本冷凍空調工業会が「騒音等防止を考えた家庭用ヒートポンプ給湯機の据付けガイドブック」をwebサイトで公開しているので参考になります。
4.設置スペースをどこにする?
エコキュートには、貯湯タンクとヒートポンプユニットが必要になるので「広い場所を取る」「深夜に低周波音が発生してしまう」という2つのデメリットがあります。そのため、設置スペースはこの2つのデメリットを意識しながら決めることが必要です。
もし、これまでに使っていた給湯器が電気給湯器ならば、貯湯タンクを設置するためのスペースがありますし、配管工事も簡単になるでしょう。そのため、同じ場所がエコキュート設置スペースの第一候補となります。この際には、電気給湯器にはなかったヒートポンプユニットを「どのように設置するのか」を考えながら、ヒートポンプユニットからの低周波音が近隣の迷惑にならないような対策を施すことが大切です。
しかし、これまで使っていた給湯器がガス給湯器の場合には問題が複雑になってしまいます。マンションの1階で専用庭があるならば屋外設置も候補になるのですが、専用庭がない場合にはベランダやバルコニーへ設置しなければならないケースもあるでしょう。しかし、エコキュートは370Lや大きなものでは550Lものお湯を貯めることになり、タンク自体の重さやヒートポンプユニットの重さもかかってきます。そのため、ベランダやバルコニーが500~600kgを超える重量に耐えられなければ設置することはできません。また、近くにエアコンの室外機などがあると共振を起こして大きな騒音を発生してしまう場合もあるため注意が必要です。
さらに、配管工事をどうするのかも問題になってきます。配管を通すために壁に穴を空けたり、床下を上げて配管スペースを作ったりと大掛かりな工事になってしまう場合もあります。ガス給湯器からエコキュートに乗り替える場合には、大きな工事が必要となる場合もあることを覚悟したうえで、工事業者とよく相談して設置スペースを決めることが大切です。
5.管理組合との事前相談を忘れずに
マンションにエコキュートを設置する場合には、騒音問題や設置スペースの問題から戸建てに設置するよりもハードルが高くなりますが、問題はそれだけではありません。エコキュートを設置するには工事が必要です。特に、ガス給湯器から乗り替える場合には、設置工事だけでなく配管工事も必要となりますから、大きな工事が必要になってしまいます。
電気給湯器から乗り替える際にも、使っていた電気給湯器が給湯専用で乗り替える先のエコキュートがフルオートやセミオートの場合には注意が必要です。なぜなら、浴槽にお湯を送るための配管工事が必要になるからです。これらの工事を行う際には、騒音やホコリといった問題が発生しますから近隣に迷惑がかかります。
特に工事は必要なく、ただ運び込んで既存の配管に接続するだけという場合でも、巨大なエコキュートをエレベーターや廊下を使って自分の専有部分まで運び込むのですから、他のマンション住民に影響を与えることになります。そのため、マンションでエコキュートを使う場合には事前に管理組合に届け出ることや、その承認を得ることが必要です。マンションごとに管理規約の内容が異なる場合もありますし、実施する工事に応じて手続が異なる場合もあります。マンションによっては各部屋に設置する給湯器の性能に基準が設けられていることもありますから、その確認も必要です。
エコキュートに限らず、マンションで大きな機材を搬入したり工事をしたりする際には事前に管理組合に相談することが不可欠といえます。また、きちんと管理組合と相談をすることが、後々の近隣トラブルを回避することもつながるでしょう。